春山香代子の引退試合がメインとなった2015年最後の後楽園大会。入場式でマイクを持った春山は「皆さんバリバリですか~!? 熱いバリバリな声援をたくさんよろしくお願いします」とあいさつ。
世代闘争をテーマとした第1試合の6人タッグ戦は、ドロップキックで奇襲を仕掛けた若手トリオが勢いよく攻め込んでいくが、KAZUKIのダイビング・ニードロップからLeonがマッド・スプラッシュで矢子を仕留めた。
木村響子との決着戦に臨んだ中森華子は、いきなり鎮魂歌ドライバーを放つと場外の木村に対しデスティニー・ハンマーで追撃。木村がスリーパーで締めあげてペースを取り戻すと激しい蹴り合いを見せるが、側頭部への回し蹴りから路上で丸め込んだ中森が3カウントを奪取。喜びを爆発させた中森は、自身専用の金色のマイクスタンドを持ち込むと“木村響子が気に入らない66個の理由”の最後の1つ、勝ったら発表するとしていた66番目の理由を「私、木村響子のこと大っ嫌いで、大っ嫌いで…大好きなんだよ!!」と絶叫。木村は「気づくの遅えんだよ!」と抱擁を交わし、これまでの遺恨を水に流した。
第3試合は最後のタッグ結成となる春☆倉がコマンドボリショイ&米山香織と対戦。先発で春山と向き合った米山は早くも号泣してしまう。数々の連係を繰り出した春☆倉はボリショイを捕らえると、3発目のキーンハンマーから春山がボリショイをフォール。最後は4人で手を上げた。
春山の歴代コスチュームを着た10選手によるバトルロイヤルは、1人ずつの入場から右手を上げる春山のポーズを各自が披露。胸や腹に詰め物をして体型を真似るなど笑いを誘う。最後はトップロープ上のLeonを場外に突き落としたラビット美兎が優勝を飾った。
セミファイナルは十文字姉妹vsベストフレンズによるJWPタッグ2冠戦。ベストフレンズは赤を基調とした派手なガウンをまとって入場した。互いにタッグワークを駆使した攻防で会場を沸かせると、最後は藤本のビーナスシュートのアシストから中島がジャーマンで幸子を撃破。アイスリボンのベルトに続き、JWP&デイリースポーツのタッグのベルトを手に入れた。
十文字姉妹が退場すると、中島がマイクで尾崎魔弓を呼び込むハプニング。中島は「オマエら(JWP勢)のニセモノのピュアハートに、もうこれ以上付き合ってらんねぇんだよ! 私こそがピュアハートだよ!」と1・11両国大会でのシングルマッチが決まっているボリショイに宣戦布告すると、バックステージでOZアカデミー正危軍入りを表明する。
メインイベントの春山香代子引退試合は盟友・倉垣翼との一騎打ち。JWPのOGで現在ガンと闘っている渡辺えりかさんが特別リングアナを担当した。握手からスタートした試合はコーナーに追い込んだ春山が、かつて三田英津子が得意としていたブレイジングチョップを連打すると、倉垣は客席で観戦していた三田さんの元へ春山を連れていき元祖のチョップをプレゼント。倉垣の合図でセコンドに付いていた選手たちがリングに上がると、1人ずつ春山に惜別の一撃を叩き込んでいく。あらゆるバリエーションからのギロチンドロップを繰り出しながらも次第に追い込まれていく春山は、ボリショイの名を叫んでの掌底、中島の名を叫んでのエルボー連打など、JWPの選手たちの技を拝借して逆転に成功。最後は代名詞であるコーナー最上段からのギロチンドロップで3カウントを奪い有終の美を飾った。試合後に行なわれた引退セレモニーには多くの選手関係者が来場。オレンジ色の紙テープに包まれながら、宣言通り笑顔でリングを下りた。
以下、各選手のコメント
★十文字姉妹vsベストフレンズ、試合後のマイク
中島「十文字姉妹、今日は試合をしてくれて本当にありがとうございました。女子プロレス界最高のタッグ屋に勝ったからには、自分たちがこれからの女子プロレス界のタッグを引っ張っていくつもりでいますんで…見ててください」
チサコ「十文字姉妹、負けたーっ!! すごい悔しい! ね、幸子?」
幸子「超悔しい!」
チサコ「でも十文字姉妹はタッグ屋と闘うことをすごいこだわってきて…幸子、後楽園最後なんですよ。このJWPの舞台でタッグ屋・ベストフレンズと闘えてホントに嬉しいです。ありがとうございます! タッグ屋NO.1目指すと言ったからには(藤本に)アイスリボンの代表! いろんなヤツとタッグ組んでんじゃねぇぞ! わかったか!?」
(十文字姉妹が退場)
中島「今日、春山香代子が引退して、春山香代子がいなくなったJWP。新しいスタートをボリショイさんとのシングルで始められることが嬉しい。だけどボリショイさんが思ってる以上におもしろいシングルマッチになると思います。ねぇ、尾崎さん!(尾崎と西尾が現れる)ボリショイさん、尾崎さんに何回も負けて“悔しい”“ずるい”“卑怯だ”…いつまでそんなこと言ってるんですか? 本当に勝つか負けるかというときに、ずるいも卑怯もねぇんだよ。オマエらのニセモノのピュアハートに、もうこれ以上付き合ってらんねぇんだよ! 本当のピュアハートは私だよ! 私こそがピュアハートだよ! 1月11日、おぼえとけよ!」
尾崎「そういうことでピコちゃん、JWPのベルトも中島もJWPの宝物、全部私が持ってっちゃってゴメンね」
★ベストフレンズ
中島「やっぱり十文字姉妹に勝ったっていうことがすごく大っきいですし、いま1番のタッグ屋だと…」
藤本「なんかタッグ屋からタッグ屋、譲り受けた感じがして」
中島「まだまだタッグとしては駆け出しですけど、でもやっぱり気持ちと、あとシングルで培ってきた底力があるので。そこをさらにこのタッグに生かしてどんどん次を狙っていきたいです。ここがゴールではないので」
藤本「すごく嬉しくて舞い上がってたんですけど…最後、どした?(笑)」
中島「JWPのベルトがこの腰に戻って…無差別ではないんですけどタッグのベルトが戻って、私にも発言権が少しはあんじゃないのかなと思って。勝たない者に発言権はないと思うので。今日それを得たので本音を言ったんですけど、来年の私は“ガチで”っていうのがテーマなんで。そのスタートというか。どうですかね? JWP、尾崎に対して“ずるい”“卑怯だ”て正論言ってるだけじゃ勝てないから。“じゃあ、オマエら行動してんのか?”っていったら、その行動は見えてこないし。口だけで勝てるリングではないので」
藤本「じゃあ、私はそれを受けて…パートナーを信頼して(1月)10日のOZ、セコンドとして来場しちゃおうかな♪(笑)」
中島「心強い!(笑)」
(尾崎と西尾が入ってきて)
尾崎「正危軍入り、おめでと~う!(笑)」
藤本「ちょっといま話してたんですけど、私パートナーを信頼してるんで10日、OZさんに来場してやってもいいですけど(笑)。あり(中島)のセコンドとして行きます」
尾崎「いいんじゃない? ピンクレディーでしょ?(笑)」
藤本「ベストフレンズでやらかします」
中島「でも尾崎軍に入ったからといってね、下に付くつもりはないので…」
藤本「私は入ってないので…」
西尾「入ってないの?」
藤本「入ってないですけど、ちょっとやらかしちゃおうかなと(笑)」
中島「JWPこのままじゃダメだと思うんで。“このままじゃダメだ”って言ってるだからダメだと思うんで。彼女たちが行動すればもっともっとおもしろくなると思いますけど、今のところピュアハートはもう私だけだと思ってるんで」
尾崎「まったく中島の言う通りだね」
西尾「みんな、つまんないんだもん」
━━1・10新宿の加藤vs中島戦はいつも通りセコンドに付く?
尾崎「いつものようにっていうか(中島は)仲間だもん」
藤本「レフェリー美央。ウチらのガウンのデザインは紫雷美央ですよ」
尾崎「頑張ろうぜ。おもしろくしようぜ!」
中島「OK、やってやります!」
藤本「プロレス界おもしろくしますよ」
★春山香代子
(セレモニーでのあいさつ)
「18年間、バリバリ春山を応援してくださってありがとうございます! まずは何もできない私をJWPが受け入れてくれて、そしてホントに一からボリショイさんが腹筋をしてくれたりいろいろ厳しい練習があったので、私はもうその時点でずーっとJWPでやっていこうっていう気持ちがありました。ホントはボリショイさんを見送って引退したかったんですけど、ボリショイさんはまだまだお元気なので…(苦笑)。進化されてるんで、申し訳ないんですけど先に引退することになったんですけど。1番は応援してくださったファンの方、プロレス関係のスタッフの方、記者の方、後輩、先輩、同期…1番落ち込んでたときに助けて頂いたのは三田(英津子)選手でした。よく飲みに連れてって頂きまして、いろいろ話を聞いてくださいました。それがあって今の私もいます。そして私が丈夫にここにいるのは、お母さん、お父さん。今日も“リングに上がって”と言ったんですけど…ちょっと私と性格が違うんですけどね。“恥ずかしいので上がりたくない”と言われたんで。本当に18で東京に来て、逃げたいっていうときもお母さんが泣きながら電話の奥で“あなたが絶対帰ってきて後悔しないんだったら迎えに行きます。1回でも後悔した、やっぱりやりたいなって思う気持ちがあったら帰ってくるな”って言われました。なので私は帰りませんでした。母のその言葉、1番効きました。そしていつも支えてくれたお父さん、博多大会があったら私がチケットを何百枚って持って行っても一生懸命さばいてくれました。ありがとうございます。今日は家族みんなが来てくれました。やっぱり私の中では福岡の実家のみんなの応援があったので、帰ることなくここまで頑張れました。今日、翼と最後のシングルをして…出し切りました。ありがとうございました。バリバリ春山、バリバリ最高にハッピーで~す!!」
(バックステージ)
「まだやっぱり…なんですかね。元気に下りれてまずは良かったっていうのと、お客さんがたくさん入ったのが1番良かったです。自分の引退式なんですけど、まだJWPには若手がいっぱいいるので。やっぱり自分の引退式を通して、若手たちに興味を持ってもらいたかったので」
━━春☆倉でのタッグマッチについて。
「やれて良かったと思います。やっぱり米ちゃんもいろいろあって、ボリショイさんもあって、元Jだけど今は倉垣も米山も違って…。でもそれがJWPのリングでもう1回集まれたっていうのが、すごい私の中ではやりたかったことなので嬉しかったです。最後倉垣ともやりたかったので」
━━最後のシングルではあらゆるギロチンドロップを繰り出したが。
「やっぱり自分といったらギロチンドロップだと思うので、お客さんにバリバリな姿を見せたかったので」
━━OGの渡辺えりかさんも来場したが。
「ナベちゃんもいろいろ闘ってるので、私ので少しでも頑張ってって思って。病気と闘ってもらえたらなと思うので。風邪気味だったっていうので心配だったんですけど、すごいちゃんとしてもらえて。阿部(幸江)さんにも(これまでの経歴を)読んでもらえて。私は恵まれてると思います、ホントに」
━━引退発表から5ヶ月、いろいろな考えがよぎった?
「私は全然まだ出来るんですけど、バリバリなうちに引退したかったので。バリバリなうちに若手と当たって、いろいろリング上で会話が出来たのは嬉しかった。あと引退を発表して全然当たってない方とも当たる機会が増えたので、それはすごく嬉しかったです」
━━無差別級王座がJWPにない現状について。
「それが1番、なんか悲しいなって。しかもそれを持ってるのが元Jの選手っていうのが、より悔しいけど…いま私が出ていく幕じゃないので。みんな個々にそれぞれ考えてると思うのでみんなの動きを見ていきたいのと、お客さんにも見てほしいなっていうのがあります」
━━JWPが選手体制になった時の選手がボリショイだけになるが。
「みんな1つになって頑張ってたので、私が抜けたからって別にそんなに支障はないと思います。みんなそれだけのことをしてきてると思ってるんで、私も“引退して大丈夫”って思ったので。絶対楽しいと思います。今後のJWP」
━━デビューした団体で1度も引退せず18年間というのは初だと思うが。
「すごい! すごく辛いこともあったんですけど、やっぱりプロレスって辛いことがいっぱいだと思うんですよね。でも、嬉しいことが辛いことよりすごい大きいので。今の子に伝えたいのは、たぶんプロレスは自分自身との闘いなんで、自分が無理だと思ったらもう自分が落ちるだけなんで。もっと強く気持ちを持ってほしいと思います。1回ダメな試合をしてお客さんになんか言われても、引きずらないで次の大会で違う自分を見せればいいだけであって。そういう気持ちをもっと持てば、もっと楽しくなると思いますけどね」
━━JWPがピンチだったとき、他団体に行ったりフリーになろうと思わなかったのは?
「まず何も出来ない私を入れてもらえて。ボリショイさんに聞いてもらったらわかるんですけど“史上最悪できてない子”だったんです。それをホントにボリショイさんが一から見捨てることなく見てくださって。たぶんJWPとボリショイさんが大っきいですね」
━━今後について決まっていることは?
「JWPの大会には、選手で(運営)してるっていうのがわかってるんで、選手にプロレスに専念してほしいんで。スタッフになるんじゃなく、ちょこちょこお手伝いには行こうと思ってます。私が出来る限りのことを」
━━練習のコーチは?
「どうですかね。私けっこう人には厳しい。“見てください”って言われたら見る気満々。その代わり“覚悟しとけよ?”って思います」
━━田舎には帰らない?
「今のところ2~3年? 3~4年とか。まだ帰る予定は。親に何も言ってないので、親から“今後のことが決まってるんだったら少しでも教えてください”っていう手紙が来て…。“引退式はケガなく頑張って”の後に“P.S.”で。教えてないんですけど」
━━引退後の人生もバリバリ?
「バリバリです! バリバリハッピーに進んでいきます!」