【レポート】12月13日(日)後楽園ホール 11時半

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◇12月13日(日)後楽園ホール 11:30
「PURE- J CLIMAX  2020」
 PURE-Jの2020年最後のビッグマッチ。初の有料生配信となる大会で解説も務めたボリショイは、オープニングでリングに上がると「いろいろありましたが、たくさんのご協力のおかげで今日こうして大会を開催することができました。選手は皆さんに元気と勇気を与えたいと日頃から一生懸命練習しています。今日、熱い闘いを繰り広げてくれると思います。皆さんも熱い応援を最後までよろしくお願いします!」とあいさつ。会場から大きな拍手が沸き起こった。
 第1試合はデイリースポーツ認定女子タッグ選手権試合で、『浪速残酷楽園』(なにわ・ざんこく・ぱらだいす)中森華子&山下りなに、大空ちえ&真琴が挑戦。背後から奇襲をしかけた大空&真琴は、ダブルのショルダータックルを放つと元気よくアピール。キャリア4ヶ月でこのタイトルマッチに名乗りを上げた大空は、リバースのパロスペシャルやフィッシャーマンズ・スープレックスを初公開するなど気迫のファイトを見せるが、中森がハイキックからのスタンディング式シャイニング・ウィザードで大空を仕留めてみせた。マイクを持った中森は、「2度目の防衛、成功したぞー!! いろいろ私のワガママで1本目でタイトルマッチをさせて頂きました。来年からもこのタッグのベルトもっともっと磨いて、防衛戦をたくさんし続けていきたいと思いますので、皆さん応援よろしくお願いします!」。夜は大阪の試合に出場する山下は、「PURE-J終わった後に来れる方は大阪までお越しください!」と会場を笑わせる。
 KAZUKIが18歳のアイスリボン王者・鈴季すずを迎え撃つ一戦は、JWPから長い伝統を持つ2カウントフォールマッチ。開始早々から丸め込みでの勝利を狙うKAZUKIに困惑するすずだが、KAZUKIの「オー!」を横取りするなど持ち前の元気の良さを発揮。母親と同年代のKAZUKIに容赦なく攻撃を加えていくと、バリエーション豊かなヒザ攻撃を耐え抜いたすずがジャーマンで2カウントを奪い勝利を上げた。試合後、すずはボリショイをリング上に招き、「自分は今アイスリボンのベルト、ICE×∞(アイシーイー・クロス・インフィニティー)を巻いています。しかし初めて自分がプロレス人生で巻かせて頂いたのが、このPOP(プリンセス・オブ・プロレスリング)のベルトです。大会のMVPという形ではありましたが、初めて自分がこのベルトを巻かせて頂いて、このベルトを持ったことによってすごくすごく成長できたし、すごく強くなれたと思っています。今、若手興行『ピュア・プリンセス』は開催できないまま、自分がずっとこちらのベルトを保管させて頂いていたのですが…これからもっともっと輝くためにボリショイさんにご相談させて頂いて、こちらのベルトを返上させて頂くことにしました! ボリショイさん、ありがとうございました! 自分が強くなれたのはこのPOPのベルト、そしてボリショイさんのおかげだと思っております! POPの王者だったことをしっかり誇りに持って、これからもプロレス人生、歩んでいきたいと思います」と話し、ベルトをボリショイに返還した。
 セミファイナルはライディーン鋼&AKARIが、Sareee&橋本千紘という女子プロレス界最高峰のライバルタッグと激突。鋼と橋本は幾度も体をぶつけ合い、Sareeeと橋はボディースラム1発からのタッチを繰り返すなど余裕の試合運びを見せ、コーナー最上段のSareeeを投げる形でのファンタスティックフリップも披露する。4人が入り乱れる展開から橋本がAKARIにダイビング・サンセットフリップを放つと、Sareeeもフットスタンプで追撃。粘りを見せるAKARIは丸め込みでフォールを狙いに行くが、Sareeeはローリングソバットからジャーマン。最後は裏投げでAKARIを破ると、橋本と2人で“ぎゅん”のポーズを決めてみせる。
 メインイベントはLeonの持つPURE-J認定無差別級王座に春日萌花が挑戦。じっくりとした攻防からフットスタンプを連発した春日は、背後からしがみついてのスリーパーへ。この一戦に懸ける並々ならぬ覚悟を覗かせる春日に、Leonもスパイダージャーマンやマッドスプラッシュなど大技を繰り出していく。鈍い音を響かせた春日のヘッドバットから両者がダウン。ヒザの連打からアストロシザースで丸め込む春日だが、これを凌いだLeonはスピンキックからスピアーで浴びせ倒すとキャプチュードバスターへ。最後の意地でキックアウトする春日にエアレイドクラッシュを炸裂させたLeonが、王座防衛を果たした。最後にPURE-Jの選手たちがリング上に勢ぞろいすると、Leonは会場と配信で見ているファンに向けて、「私たちは皆さんに元気とパワーを試合を通じて届けていけるように、これからも全力で闘っていきます。まだまだ大変な世の中ですが、頑張って一緒に乗り越えていきましょう!」と呼びかけた。
★メインイベント後のマイク
 Leon「春日! これが私の実力だ! 強さだ! 私には敵わないんだオマエは。でも、オマエは私に足りないモノを持ってると思う。まだこのベルトが欲しいと思うのなら、いつでも挑戦受けてやるよ。ただ、その時には今以上に強いチャンピオンでいるからな!?」
 春日「Leon…! いろんな後輩に慕われてて、あなたと試合した選手は正直、みんなアンタに惚れるんだよ。今日もな、メチャメチャカッコ良かった! けど、プロレスラーのお手本で先生みたいだったけど…カッコいいアンタが“自分にも劣ってることがある”って認めて、カッコ悪いとこもナシだったら今の私じゃあなたには何も敵わないよ! 強さっていうものをもう1度一から勉強してあなたに立ち向かうから、それまでずーっとベルト持ってろ!」
 Leon「当たり前だよ!! いつでも、また待ってるからな」
以下、各選手のコメント

★中森華子&山下りな
 山下「2回目の防衛ありがとうございました! まぁ当然といえば当然なんですけど、良くも悪くも新人(大空ちえ)が頑張ってたんじゃないですか? 新人としてはね。でもタイトルマッチにはもう1つ、全然足りないよ。真琴はパートナー探してるって言ってたけど、人望ないんじゃないですか? そんなんで煉獄さん(※マンガ&アニメ『鬼滅の刃』)を推す資格あるんですかね?」
 中森「今日の大会が無事開催できるのかっていうとこもすごい不安で、タイトルマッチが本当にできるのか? ってここ数日思って、いろんな方に迷惑かけてしまって…。でも今日1本目でしっかり防衛できてホントに安心感でいっぱいです。毎回試合ができるって本当に当たり前のことじゃないんだなって思って。このタッグのベルトなんですけど、私がどうしても真琴とやりたいっていう希望が通ってやったんですけど、来年15周年を迎えるので、その前に当たっておきたいなっていう気持ちがあって。ちえは初勝利もしてないままタイトルマッチになって、私は“誰でもいい”って言ったし、思いがある選手とやればいい防衛ロードが築けるって思ったけど…まだまだでしたね、やっぱり。私は何度でも待ってるし、私たちは12回、最低でも防衛回数を残すから…」
 山下「もちろん!!」
 中森「そのうちの1試合なので、まだまだ来年もたくさん防衛していきたいと思います」
 山下「今日は私が夜に大阪で試合が入ってまして“今回は残念ですけどPURE-Jさんの後楽園はお休みで”って話をしたら、すごい熱い眼差しで熱い言葉で“第1試合でもいい”って言ってくれて、ホントに熱い思いを持ってると。悪く言えばホントにバカだなって思って…(笑)」
 中森「ウソ~!(頭を抱える)」
 山下「やっぱりお客さんも私もそんなバカが大好きなんでね。こんな気持ちのいいバカヤローとね、ベルトを持って試合できたのがホントに嬉しいというか。2回目の防衛ですけど、ホントに好きですね(笑)。“こんな一面もあるんだ”みたいな、私と組んでる時しか見せないようなちょっとお茶目すぎるところとか、私はもっと見たいですね。防衛回数重ねるたびにたぶん好きになるんだろうなって感じました(笑)。ホントに価値のあるベルトです、これは」

★大空ちえ&真琴
 真琴「最初(パートナーが)ちえさんって聞いて、ちょっと正直悩んでしまって…けっこう秘密裏にゆかりのある選手にオファーしてたんですけど、全員スケジュールがダメで…!(苦笑) これはもう“ちえさんにしろ”という神様からのおぼしめしだなって思ったんで。今日初めてリング上で会ったんですけど、20分以上…? タイトルマッチで。すごい。負けたのは自分の責任でもあるので、1番今思うのはこのデビューしたての子が20分以上トップ選手と渡り合うというか、粘ったのが素直にすごいし尊敬します」
 大空「せっかくこうやって選んで頂いたのに…簡単に勝てるとは思ってませんでしたけど、やっぱり真琴さんと一緒に勝ちたかったのでメッチャ悔しいです。すごくいい経験はさせてもらえたと思ってます」
 真琴「中森さんは私にとっては特別な方で、愛情も憎しみもこもった選手に指名されて…。指名したことを後悔させてやろうと思ったんですけど、まだまだ未熟でした。あと山下りなは私と推しが被ってて。煉獄杏寿郎さんに人生を注いでて、選手名鑑とかに気軽に煉獄さんの名前を出してほしくなかったですね。許せない」

★鈴季すず
 「KAZUKI選手は自分の母よりも1つ年上ということで、なんかお母さんと試合する気持ちで試合したので(笑)。ホントになんかお母さんみたいだなと思いました。似てるんですよ、ウチのお母さんと! だから“クソババア”とか言っちゃいまして…怒ってらっしゃいましたね! でも今、自分の団体でチャンピオンをしていて、やっぱり自分が生まれる前からプロレスをやっている方に勝利を飾れたというのはホントに大きいことだと思うし、すごく経験値が上がったんじゃないかなと思いました。でも、ヒザがホントに強烈でした!(苦笑) なんか“ヒザ!”って感じがしました。ホントにヒザを感じました! 今日はありがとうございました。POPのベルトを返上させて頂いたんですが、これからもっともっといろんな人に感謝をして、チャンピオンとしての道を歩んでいきたいなと思います!」
★KAZUKI
 「私は何回か2カウントルールを経験してるんですけど、すず選手は初めてということで。意表をついた攻撃とかして向こうも焦ったと思うんですけど、やっぱり今アイスリボンを背負ってるチャンピオンだけあって冷静に立て直したのを感じました。18歳で若さとか勢いもあったし、でも私はそれに勝る攻撃力とか経験値で対抗したんですけど…さすがでした。久令愛とかリングアナのSakiちゃんも娘ぐらいですね。若いだけあってみんなピチピチしてますよね。私も30年ぐらい前はそういう時代もあったんですけど…(笑)」
 ━━大変な情勢の中での後楽園大会となったが。
 「そうなんですよ。後楽園の前にPURE-Jが大変なことになってしまって、その前には『愛卍』(勝愛実&マリ卍)が退団してしまって。PURE-Jって何か大きい大会があるごとに事件とか大きなことが起こるので。でも今まで乗り越えてきたので、今回も絶対乗り切れるなと思ったので、無事開催できて良かったです」

★Sareee&橋本千紘
 橋本「まさかこんなところでタッグを組ませて頂けるとは思ってなかったですけど、これも縁だと思うので。この先Sareee選手がアメリカ行ってしまったらわかんないんですけど、こういう機会を作ってくれたPURE-Jさんに感謝です」
 Sareee「橋本選手とは何度も何度もベルトを懸けて闘ったり、熱い試合をしてきた選手なので、自分の中でとても思い入れがあって。絶対負けたくないと思うライバルだし、それはこれから先もずっとそうだと思うんですけども、今日こうやってタッグを組めてすごく嬉しかったし、やっぱ心強いなと思いましたね。でも、まだ私は日本にいるので、やっぱ闘いたいですよね。その時は絶対負けないんで(笑)」
 橋本「はい! お互いチャンピオンで、お互いに負けたくない気持ちはありますね。あと、自分的にはライディーン鋼と前にシングルして勝ってて、久々に闘ったんですよね。“ナンバー1のパワー”とか言って、あんなもんかと思いますね。もっともっと上がってこいよ!って。まだまだ遠慮してるのかわかんないですけど、あんなもんじゃないと思うんで。次やる時はガツガツ来てほしいですね。ちょっと残念だったのもあります」
 Sareee「今のPURE-Jで鋼が頑張んきゃ、誰が頑張んだよ? って話ですよね。もっともっとなんで頑張んないの? なんで行かないの? って思います、橋本に対しても。体はデカイのにすべてで負けてんじゃないですかね。できる選手だと思うし…」
 ━━2人で組むのは初めて?
 Sareee「2回目ですかね」
 橋本「1回仙女の大会であるんですけど、こうやって他団体で組むのは初めてでした」
 ━━連係技も繰り出したが。
 橋本「お互い闘ってるので、どういう技をするかっていうのはやっぱり1番わかってるので、連係もしやすいところはありました」
 Sareee「うん! そうですね。楽しかった。ウチら組んだら負けないですね。世志琥と今、組んでるんですけど。橋本選手もおんなじ私のライバルなので“組んでも良し闘っても良し”じゃないですか? 闘いたいですけどね(笑)」 
★ライディーン鋼&AKARI
 鋼「メチャクチャ私は楽しかったです。最後にSareeeさんと闘えてホントに嬉しいし“ありがとうございました”って言えたのがホントに嬉しいです」
 AKARI「私、初めて橋本さんと試合。すごい力(笑)。Sareeeさんとは3回試合してホントに難しいですね。Sareeeさんメッチャ、力すごい。でも、もっともっと頑張ります(笑)」
 ━━相手は2人とも鋼選手への不足を口にしていたが。
 鋼「そうですね。まだまだですけど、なんですかね? 自分の中ではなんかあるんですかね? 自分はまだちょっとわかってないんですけども、みんながどう思ってるかわからないけど、私には足りないことがいっぱいあると思います。それをもっと頑張って、これからどんどん上を目指して橋本…そしていろんな上に立つ人たちを倒していけるように頑張っていきたいと思います」
★Leon
 「思っていた以上に気迫というか、このベルトを本気で狙ってきてるというのが、試合を通じて怖いぐらいに伝わってきました。やっぱりあれだけウチらにケンカを売って“PURE-Jの全員が敵だ”という覚悟を感じましたね。彼女がこれであきらめないのなら私は何度でも春日の挑戦を受けたいと思うし、」本気でこのベルトを狙ってる人と私は闘っていきたいんで。また彼女も“さらに強さを磨いてくる”と言ってたので、その日が楽しみです」
 ━━厳しい情勢の仲での大会開催となったが。
 「私たちもコロナにかかってしまって、今1番コロナの感染が多い時期なんですけども、こんな大変な中でも会場に、私たちの試合を見に来てくださったお客様に本当に感謝の思いでいっぱいですし、私たちの試合で少しでも元気とパワーを送れたらなと思って今日は闘いました」
 ━━20周年イヤーがまもなく終了となるが、21年目に向けて。
 「そうですね、今年はコロナの影響で試合ができなかったりタイトルマッチや記念試合が延期になったりしたんですけども、自分にとってすごく充実した…無差別王者に返り咲くこともできましたし、改めてプロレスができる喜び、お客様の応援の喜びを感じることができたんで。来年は感謝の思いを、チャンピオンとしてすごい試合をすることで恩返ししていけたらなと思います」
★春日萌花
 「“これが私の実力だ”って言われたら実力だなっていう…あの人はホントに先生みたいな人なんで100点のエルボーをしてくるんですけど、だったらこっちが120点のエルボーとかを持ってないと倒せないんだなっていうことですよね…。お客さんの心を引いたのがどっちかわかんないけど、お客さんの心を引いたら勝てるわけじゃないので。強さって言われたらそれまでだなと…。今年の漢字が発表されますね。私は去年最後にタイトルマッチ負けて、最終的に負けたってことは今年に宿題を残した形になってて…。それを叶えなければいけないのに、今度は世の中の情勢が変わっちゃって“いつ弾けていいのかな?”って。“私が光り輝いて真ん中に行けるのはいつなんだろう?”ってずっと思ってて。今年の漢字は『滞』(とどこおる)って字しか浮かばなかったんですよ。最終的に私がケンカ売ってメチャクチャにしてやろうと思って、そしたらケンカ売ったほうが病気に負けそうになっちゃうんだもん。それでもなんとか開催できて、今までの涙を全部ふっ飛ばして『滞』から“さんずい”を引き剥がして『帯』という字を描いて、ベルトを2冠で巻いて終わるつもりだったんですけど…。もう1年宿題ができてしまいました。“宿題”って言い方してるじゃないですか。やっぱり先生なんですよ、あの人。先生って“聖職”って言われがちで、でもあの人は今日一点だけ負けを認めたので…そうやってあの人にはないところを磨いていけば、子は親を超えるって言われているので。生徒は師を超えるんです。それは私が証明してみせます」