2ヶ月半ぶりとなるPURE-Jの板橋大会。ともに北海道出身という共通点を持つ大空ちえと帯広さやかのシングル対決は、大空がフィッシャーマンズ・スープレックスからダイビング・ショルダーにつないで攻勢となるも、帯広が変則的な動きで惑わせて背中での押さえ込みで3カウント。試合後はグータッチで健闘を称え合う。
春日萌花&マドレーヌを迎え撃つことになった『WANTED☆ウォリアーズ』KAZUKI&ライディーン鋼。マドレーヌは春日とのタッグを『カメレオンアーミー』と命名して試合がスタート。春日&マドレーヌの意外な好連係に手を焼きながらもマドレーヌを捕らえると、最後はKAZUKIが前後からダブルニーを連打して勝利を上げた。
谷ももの7番勝負3戦目はAKARIを相手に、1年ぶりにPOPのベルトを懸けた闘いに。気迫のファイトを見せる谷にAKARIも多彩なテクニックで応戦し、両者ともに昨年からの成長を証明。谷のウラカンラナをキックアウトしたAKARIが、ラリアットからダイアモンドボムにつないで勝利し6度目の防衛に成功する。マイクを持ったAKARIは、「皆さん、本日は試合に来てくれてありがとうございます。私は4月でデビューしてから3年になります。ボリショイさん、いつも助けてくれて本当にありがとうございます。私はより良いプロレスラーになるために最善を尽くします。そしてPURE-Jにもっと多くのファンを増やして、世界一の団体にします。皆さん今日はありがとうございました!」と感謝を述べる。
メインイベントは中森華子の15周年記念シリーズ・15番勝負の最終戦として、中森華子&佐藤綾子 vs 伊藤薫&中島安里紗。闘いたい選手が多いことを理由に、この試合のみ特別にタッグマッチ。さらに「絶対決着をつけたい」という中森の要望により、15分ではなく時間無制限1本勝負に変更されることになった。デビュー時の師匠である伊藤との10年以上ぶりの対戦に、入場時から涙が止まらない中森。対する伊藤は何事もないかの表情で淡々と試合を進めていく。中森がハイキックからディスティニー・ハンマーを叩き込むと、伊藤はラリアットからランニングセントーンで仕返し。伊藤と中島によるダイビング・フットスタンプの連弾から中島のスープレックスが決まるが、伊藤のラリアットが中島に誤爆。伊藤をハイキックで分断した中森が雁之助クラッチで中島を丸め込み、最終戦を白星で飾ってみせた。
マイクを持った中森は、「今日は本当にありがとうございました。今、闘ってくれた安里紗、佐藤さん、そして伊藤さんはすごく大きな存在です。安里紗とはタッグチャンピオンだから、今、隣にいるのは不思議な気持ちだけど私はもっともっと闘っていきたいし、これからもずっとライバルだと思ってる。佐藤さんも本当にいつもたくさんの感謝でいっぱいです。そして伊藤さん。今日は本当に久しぶりの対戦、ありがとうございました。(伊藤道場時代に)あまり良くない形で伊藤さんから離れてしまって“もう対戦することもない”ってずっと思ってたんですけど、節目の時に闘えて本当に感謝の気持ちでいっぱいですし、伊藤さんがいなかったら私は存在していないので。その気持ちを伝えたくて今日対戦をお願いしました。ありがとうございました(中森と伊藤が握手を交わし会場から拍手)」。
カーテンコールでは谷が「AKARI、POPのベルトを懸けてくれて本当にありがとうございました。今日負けてしまってメッチャクチャ悔しいんですけど、私は新しい目標ができました! 年内に何かしらの形で絶対にPURE-Jでベルトを巻いてやりたいと思います!」と宣言。AKARIは「ももさん1年前と全然違うね。すごい強い。今度もう1回やりたいです」と返答する。中森は「去年の4月から始まった15周年記念の試合、今日でラストということで、たくさんの方に感謝の気持ちでいっぱいです。これからタッグチャンピオンとしてもっとPURE-Jを盛り上げていきたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします!」と締めた。
以下、各選手のコメント
★中森華子
「たぶん今しかできないと思ったので、こういうスペシャルなタッグマッチを組ませて頂いて。伊藤さんとはもう絶対にできないと思ったので。勝つことはできなかったけど、闘えて良かったと思ってます」
━━入場時から涙が止まらなかったが。
「自分が“やりたい”って実現したカードなのに昨日からすごく怖くなってしまって…怖いっていうか緊張感がすごくて。久々に伊藤さんの曲聞いたら、ちょっといろんな思いがこみ上げてしまって(苦笑)。涙が出てしまったんですけど、やっぱり1発1発がすごい重くて。昔と変わらず…自分のことがどう見えてたかわからないですけど、たくさん教わったので。今日もいろんなことを吸収できたと思うし、そういうのを胸にこれからも頑張っていきたいと思ってます」
━━16年目に入ったが、これからの目標は?
「安里紗とチャンピオンとしてやってますけど、やっぱり1番負けたくない選手。隣にいても闘いがあるし、お互い団体を背負ってるので。まずはこのタッグのベルトをいろんな選手ともっと防衛していきたいです」
★伊藤薫
「私、全然試合した記憶がなくて、華(はな)と。感覚的には初めてなのかな?(笑) 伊藤道場であんまりやることがなかったから。何回もオファーはくれて、いろいろやっぱりあって断ってきたんですけど、でもタイミング的に…。私もディアナを辞めて新しく選手を育てたいなっていう、Sareeeが私が見た(教えた)最後になってるんで。Sareeeがあっち(アメリカ)に行ったことも自分が新たに教えていきたいなと思った1つだし、今、伊藤道場を再開しようと思ってて。そのタイミングが重なったっていうのでひと区切りじゃないけど、自分の見てきた子たちが華であったり佐藤であったり、いろんなところでベルトを巻いて。最初に伊藤道場を作った時の原点が、自分が教えた子たちが“ちゃんとした選手として成長して、いろんな所に行ってもらう”っていうのが最初に『伊藤薫プロレス教室』として始まったもので」
━━中森、中島、佐藤といったキャリア15年前後の選手たちの活躍について。
「あんまり接点がないから…佐藤は昔から側にいるけど、華は最初だけだったから。あの子たちはしっかり練習して、もちろん受け身も、最低限のプロレスラーになるためのものは全部ちゃんとやってきてると思うので。いいんじゃないですかね。実質どこでもトップとしてやってる世代があそこだから、プロレス界をおもしろくしてくれればいいんじゃないですか」
★AKARI
「2回目のシングルマッチ。ももさんも私も1年前と全然違う。それが今日わかった。でも私、もっと強い。ホントにメッチャおもしろかったです」
★谷もも
━━ベルトを獲ることはできなかったが。
「メチャメチャ悔しいですね。やっぱり1年越しに挑戦してキャリア的にもラストチャンスだと思っていたので、4月で周年なので…(※POPの規定は4年以内)。“今回がラストチャンス”っていう気持ちで挑んだんですけど勝てなかったので…すごい悔しいです」
━━AKARIもこの1年で変わっていた?
「そうですね。自分も強くなったけど、やっぱりAKARIも同じぐらい強くなってて…“そこの差が埋められなかったな”っていうのがあったんですけど、この間PURE-JのYouTubeチャンネルで1年前のPOPの映像が流れてて、それを久しぶりに見たんですけど“2人とも若いな”と思って。1年前と比べると自分の成長はすごく感じられたんですけど、“追い越せなかったな”っていうところが反省です」