WANTED’14がプロデュース興行を開催。その理由をKAZUKIはこう話す。
「ある方にWANTED’14ってまだあるの?と聞かれたのがきっかけです。昨年は阿部(幸江)さんが引退して、瑛凛ちゃんが入ってきた。それから今年に入ってなにかやったかといったら…そうでもない。鋼が(ジュニア2冠の)ベルトを一瞬取ったくらい。でもWANTED’14はやってるんだよって意味で大会を開催することになりました」
大会のサブタイトルには「健在」と記されていた。やはりWANTEDといえば阿部さんとのザ☆WANTED!?が印象深い。それだけに、欠場者がいる現在はやや影の薄い存在になってしまっているようなのである。それでもユニットはまだまだ活動中。それを誇示するためのプロデュース興行といえるだろう。
第1試合では、ライディーン鋼が宮本裕向とシングルマッチをおこなった。この試合は、男女の枠を超えたド迫力バトルに発展。鋼にはむしろ、こういった闘いのほうがよく似合う。ジュニア2冠を防衛せずに手放したのは残念だが、新たな、というよりも本来あるべき姿が鋼から見えるような試合内容だったのだ。今回、宮本の起用は大成功だった。通常興行では不可能なだけに、これはWANTED’14プロデュースの大きな成果である。
試合の合間には、阿部幸江さんが登場しトークショーがおこなわれた。題して「瑛凛のドキドキトークショー~新旧シンデレラの巻~」。欠場中の瑛凛がOGの阿部さんをまじえてシンデレラ談義(?)。阿部さんが必殺の奇声を瑛凛に伝授すると、瑛凛は「毎日道場で練習します」とのこと。やはりWANTEDには耳元での絶叫は欠かせない? また、阿部さんが「バトルシンデレラ」というキャッチフレーズを持っていたのに対し、瑛凛も「エメラルドシンデレラ」としてシンデレラのイメージを受け継ぐことが決定。ちなみに、阿部さんは運転免許を取り就職、きちっと仕事をしているとのことだ。話題には上がらなかったが、婚活のほうはどうなっているのだろう?
メインは「素敵なWANTED軍」と「へなちょこりん軍」の5対5勝ち抜き戦。「へなちょこ軍」とは、「半年以内にWANTEDの悪口を言った人々」とのことを指す。ボリショイ、Leon、ラビット、矢子、そして木村がそれに該当するらしい。対するWANTEDは春山、中島を獲得し勝ちを狙える布陣にまとめ上げた。中島を先鋒、春山を次鋒にしたことからも勝ちにいく姿勢がうかがえる。と同時に、大将のKAZUKIが試合をしないでラクに終わらせたいとの魂胆も見えるのだが…。
試合は、WANTEDの意思かどうかは別にして、非常にスリリングな闘いの連続だった。やはり、中島と春山を前半にもってきたことが大きいのだろう。大将戦こそ「セコンドが手を出していい」ルールに変更になったが、それでもどちらが勝つかまったく読めない展開に変わりはなかった。コミカルはほとんどかき消され勝負が前面に出た勝ち抜き戦。そこにピンポイントでWANTEDらしさが加えられる。最後はWANTED軍が勝って大団円。中島と春山がサッサと抜けてしまったが、これはこれでいいのだろう。
勝利をものにしたKAZUKIはLeonへのタッグ王座挑戦をあらためてアピールした。瑛凛が復帰すればさらにバラエティーに富んだことができると考えている。そのための布石を打っておいたのだ。WANTED‘14健在を十分に示した今大会。来年も開催すれば、そのときのサブタイトルは? (新井 宏)